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<超微細レーザー加工コラム第3弾>レーザー微細加工:ガラスの内部改質

弊社での超短パルスレーザーの加工の特長として、非熱加工であることから、微細で精密な加工が可能だということは以前のコラムでもご紹介しました。

今回は別の特長をご紹介させて頂きます。それは、レーザー波長に対して透明な材料の内部のみに加工(内部改質)することができる、ということです。

例えば、ガラスや樹脂(PET、塩ビ、アクリル)のような材料があります。弊社で使用しているレーザーの基本波長は1035~1064nmです。近赤外(IR)領域なので、見た目が透明なガラスや樹脂の多くはその波長の光を透過します。しかしながら、より正確には、レーザーの強度を上げると光は吸収されます。

なぜ透明材料なのに光が吸収されるのか?

それは、光の密度が高くなった個所では多光子吸収と呼ばれる非線形光学効果による吸収が起こるためです。

このことから、レンズ等を利用して透明材料の内部に集光すると、焦点部のみ強度が上がり、表面吸収を起こさず内部改質することが可能となります。(もちろん、表面付近に焦点を合わせれば表面から加工することもできます。) 内部改質の原因はガラスの種類や加工条件でも異なりますが、密度変化、ボイド(空孔)、含有成分の移動などがあると言われています。また、改質部は、母材部とは屈折率が変わっていて、変化の程度やサイズによっては目視でも確認できるほどになります。

ここまでお読み頂くと、贈答品の置物やキーホルダーなどでガラス内部に三次元(3D)で絵が描かれているものをイメージされるかもしれません。実際、それらの加工と同様になりますが、後で述べるように少し異なります。まず、前述の加工品はマイクロクラック(亀裂)を並べることで作製されています。これは、パルス幅がナノ(10-9)秒オーダーのレーザーで加工するため、熱影響によってクラックが形成され、それを積極的に利用したものになります。

それに対して、弊社がご紹介する内部改質は、非熱加工を特徴とするピコ(10-12)秒やフェムト(10-15)秒レーザーを用いた、より精密なレーザー微細加工になります。スポットサイズは数μm程度、レーザー光軸方向の長さは数十μm~1mm程度の加工になります。そして、多数のスポット状改質部を配列させたり、繋げてライン状に加工したりします。

用途としては、例えば、ガラス内部へのマーキングが考えられます。クラックの場合と異なり、内部改質(屈折率変化)を周期的に並べることで、プリズムのように虹色に光るマークの作製ができます。

図 ガラス内部改質(屈折率が変化した部位を配列させて作製)の一例。

また、光学部品機能(回折格子や光導波路)のような用途への加工も提案されています。

最後に、弊社ではガルバノスキャナーを使うことでこのような用途のへの試作を高速加工できますので、試作のご要望がございましたら、是非弊社にお声かけ下さい。

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